第1章 始業式の日
「う〜、今日行こうかな、やめよかな〜。でも今日逃したらまた行けなくなる〜、どうしよ〜!!」
一人、ベッドの上でバタバタも悶えていると、ノックもなしにいきなりドアが開いた。
制服姿の弟が立っている。眉間にはこれでもかというほどの皺。
「うるせえバカ姉貴!一階までドンドン響いてんだよ、ずっと家いんだからちょっとは痩せろ!」
「失礼な......!あんただって...」
言いかけて、バタンと扉を閉められてしまった。
このやりとりだけでちょっと疲れてしまって、ベッドに倒れこむ。ふいに枕元にある目覚まし時計に目線をやると、時刻は午前7時30分。
今から準備したら、間に合うかな....?
でも、時間が流れるのはどうしてこうも早いんだろう。
いつも朝起きて、行こうか行かまいか、悩んでいるうちにもう朝学活の時間はとっくに過ぎてしまっている。
それに、あの時はもうクラスでグループが決まってしまっているような時期だったし、とても行きづらくて。
それで結局、歯科検診とか発育測定とか、特別なときしかクラスに顔が出せず終いで、せっかくの高校生活の1年を、無駄にしてしまった。
でも、今日くらいは......。
壁にかけてあるカレンダーに目をやる。
4月8日に大きく赤ペンで丸がしてあり、『始業式!』と書いてある。
今日は、4月8日。
クラス替えも今日だし、どうせ行くなら今日行かないと、いざ次行くときに「誰?」とか思われたくない。
それに、もしかしたら“あの人”と、また同じクラスになれているかもしれない。
それなら、行かないと絶対に後悔する。