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〘上杉謙信R18〙色褪せぬ愛を紡ごう

第9章 ✼赤熊百合✼



§ AnotherSide §

天守閣から夜景を眺めていた信長は、暗闇の中を駆け抜ける二頭の馬を見て右の口角を上げた。


「随分と遅かったものだ」


そして、部屋の中で静かに本を読んでいる結に声を掛ける。


「結、一つだけ相談がある」


「命令では無くて相談ですか……?」


「ああ。お前を————————————」


それを聞いた結は、少し驚いた表情をしながらも小さく頷いた。


「……私はこんな状態ですし、何も出来ません。それでも良いと言ってくださるなら、是非」


何日ぶりかに見た微笑みに、さすがの魔王の胸も少し締め付けられた。


「俺は少し出てくる。夜景でも見ていると良い。今日は綺麗な空が見られる」


「……はい。お気をつけて行ってきてくださいね」


そして、漆黒の羽織を羽織って部屋から出て行く。
その瞬間の顔は、先ほどまで結に見せていた表情ではなく、誰もが知る第六天魔王そのものだった。







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