第7章 大阪城攻防戦 ~逆心を宿すモノたち~
それは遠くもない過去のお話。
『・・・・剣は人なり。心正しからざれば、剣もまた正しからず。剣を学ばんと欲すれば、まず心より学ぶべし』
一期一振『・・・剣術の書物を読んでいるんですか、主』
暖かい春の縁側で、一期一振がお茶を差し出しながらに訪ねた。
『・・そう。私はね、刀剣男士を導く義務があるからね。常に勉強漬けだよ』
一期一振『主のよく見ている“ぱそこん”という箱物も勉学にはとても向いていると思うのですけど・・なぜ主はよく本を読まれるのですか?』
『ん~・・・特に意味はない』
一期一振『・・?それではなぜ――』
『・・情報をパソコンから得ようが本から得ようが、人から聞こうが結果は変わらないって思うんだ。でもね、すぐに答えが分かってしまうということは心に芽生えた好奇心を殺してしまうてっとり速い方法で好きじゃない。間違っていても自分だけの力で調べ、考え抜いて、導き出したモノこそが・・・私は一番の“答え”なんだと思っているよ』
一期一振『・・・・』
『そう。そしてそれは・・・君たち刀剣男士にとっても必要なモノなんだよ』
一期一振『私たちにとっても・・?』
『刀剣であり、戦士であり、人ではない。でも心を宿す刀剣男士たちがどう生きるか・・・・』
『一期一振。私は君たちに主を盲目的に従って生きるような楽な生き方をさせるつもりは毛頭ない』
穏やかな笑みを浮かべたまま、はそっと本を閉じた。
『・・・人は剣。剣は心。狭間に生きる刀剣男士がなにを見出すか・・・。考えなさい、一期一振。そしてそれを・・・いつか私に見せてね?』(ニッコリ)
一期一振『・・・それは随分と難しい宿題ですな、主』(ウーン)
『あははっ!大丈夫!一期一振なら粟田口の皆まとめて良い方向へ導いていけるって信じてるよ!』
一期一振『・・簡単に言ってくれますね、主』(フフッ)
『それだけ信用しているってことでしょ?』
一期一振『では主、もし私がその答えを導き出した暁には・・・』