第11章 離婚
そうだった。
コイツと入れ替わりを続けて、残酷な現実をたくさん知った。
屋上でサッカー部の野郎共にやられた時。
怖かった。どうしようもないくらい怖かった。
殺されるかと思ったんだ。
この俺が泣いちまったんだよ。
「入れ替わり?ついに頭もおかしくなったのね」
「ちげーわ、このクソ女!それでもテメェはコイツの母親か?この数日間、色々いじめられたんだよ、このクソが!」
この世界に居るのがとても辛かった。
きっとコイツは、誰にも助けを求められず逃げ出したんだ。
こんなクソな母親じゃ辛かったよな?
「前の母親が虐待して逮捕された理由が分かるわ。本当に馬鹿な女ね」
「はっ……?」
突然、俺は腹を蹴られた。
俺はその場に踞る。
父が止めに入ろうとしている。
「止めろよ、零が嘘つくわけないだろ!」
「本当、アンタもクズね。じゃあ、どんなヤツと入れ替わったの?ねぇ、零ちゃん」
そして、狂った母親は俺の頬を殴った。
「俺は……爆豪勝己だ……」
「はぁ?そんな独特な名前のヤツ居るんだねぇ」
「俺は、二次元の人間だ……人気アニメのキャラだ、クソが……」
「はぁ!?」
ヒロアカだって言っても信じるはずもねぇだろ。
だけど、喧嘩を止めるにはこれしか無かったんだ。