第17章 さらば初恋
俺は零の手を取り、駅まで歩く。
「勝己……?」
「デートってこんな感じだろ?」
「うん、そうだね……」
たぶん、俺の顔は真っ赤に染まってるかもしれねぇ。
零も俺が先輩の姿ってこともあって、少し恥ずかしそうにしている。
駅で電車に乗り、バスに乗った後、目的地のショッピングモールに着いた。
ずっと君は俯いて、一言もしゃべらなかった。
「零、どこ行きてぇんだよ」
「本屋!ヒロアカの続き買いたいんだ」
そう言った零を掴んで引っ張った。
本屋のコーナーに着くと、零はヒロアカを手に取った。
「あった!うわぁ、カッコいいなぁ」
「つい最近まで、テメェもこの世界に居ただろうが」
「あっ、そうだったね。お風呂はどうなるかと思ったけど、最高だったよ!」
コイツにとって、男風呂は苦だっただろうな……。
「みんなムキムキだね。かっちゃんもすごいよね」
「あったりめぇだ。どんだけ鍛えたかわかってんか?」
「先輩と大違いだね!」
「こんなんヒョロヒョロだわ!」
そう言って、俺は今の体の腕を叩いた。
「えへへ、買ってくるね」
「ああ」
零は漫画を二冊買って来た。