第5章 荒神は今
~ある屋敷の入り口~
「おい、何処に行くのか位教えやがれ。」
「悪いけど話し掛けないでくれる。ちょっと呼吸で忙しいから。」
治は塀の上を跳びながら言った。
その後を中也が追いかけていた。
「首引っこ抜くぞ、自殺願望。何処に向かってるか答えろ!」
同時に中也は治に向かって蹴りを出したが、治は軽々とそれを避けた。
「調査に行くんだよ。」
「あぁ?」
「爆発を一番間近で見た人間に聞き込みに行く。」
「爆発?」
「一週間前、僕達が経験したのと同じ爆発が起きていた。場所も近い。先代の姿は目撃されなかったようだけど、恐らく僕達が追っている事件と同じものが原因だろう。」
中也を見て「その爆発の生存者に話を聞きに行く。」
「生存者って事は死人が出たのか?」
「ああ。君の嫌いなポートマフィアの一団だ。」
「生き残ったのは異能力者でね、君も既に会っている人物だよ。」
ドオン!!!
すると大きな爆発音がなり目的地の屋敷が燃えていた。
「あちゃー。こりゃあ犯人に先に越されちゃたかな。」
「そんなこと言ってる場合か!」
中也は屋敷に向かって走り出した。
其れを見た治も溜め息をついた後、中也を追いかけた。
屋敷の庭園に着くと建物の半分が焼け落ちていた。
「此は聞き込みは無理そうだな。」
カチャ
「両手を挙げてこちらを向きなさい。」
銃を構える音がした。
振り返るとGSSの構成員が居た。
其れを見た中也は好戦的な笑みを浮かべ
「おいおいおい。鴨がネギ背負ってなんとやらか?聞き込みなんてだりぃと思ってたんだよ。口封じに来た犯人をぶっ飛ばして、口を割らせる方がシンプルじゃねぇか」
「下がってろ。俺がぼこってやる!」
治は其れを見て呆れながら肩を落として呟いた。
「子供だ」