第2章 出会い
お香の臭いがする。
大人達が私を見てひそひそと話してる。
「あの子誰が引き取るの?私は無理よ」
「うちも無理ですよ。息子が受験生なんですから!」
「わたくしも無理ですわ。3人も子供がいるのに一人増えただけでも大変なんですから!」
「失礼。」
「「「!」」」
「お前さんがユウリだね?」
突然、髭の生えたおじさんが話しかけてきた。
「誰?」
「わしは、お前さんのお父さんとお母さんの古くからの友人なんじゃ。」
私は幼いながら分かっていたのかもしれない。
「お父さんとお母さんはもう会えないの?」
「あぁ、もう会えない。」
「だから、わしと一緒に来ないか?」
おじさんは私に手をさしだして言った。
私は涙目になりながらその手を掴んで頷いた。
「うん」