上手な生き方【ONE PIECE・ロロノア・ゾロ】
第1章 プロローグ
「さぁ、名前様、この船に乗るのです」
そう言われて押し込まれたのは、何とも頼りない小舟
それは船と呼ぶにはあまりにもちっぽけで、みすぼらしいものだった
私はこれから起こることへの不安に押し潰されそうになって男を見上げる
男はふ、と頬を弛めると私の頭を一つ撫でて
「それはとてもとても小さな船です、ですが_海に出ればこれより大きな船に出会えるでしょう。小舟から、漁船、漁船から貿易船、そうやって乗り継いで行けば良いのです」
「乗り継ぐ...」
「海は広いのです、とても、とても終わりのないくらい広いのです。お父様が仰っていた通り」
海岸から小舟のロープが離される
まって、と声を上げようがもう遅い
男は力一杯、私の乗った小舟を広く暗い海へと押しやった
船はどんどん、潮の流れにそって島を離れていく
「名前様!どうか_お元気で」
男は海岸から私へ向かって手を振っている
私も釣られて弱々しく手を振った
手を振れる場面なんかではないことくらい、分かっている
だけれど、その時私は他になにも出来なかった
他に何をしていいのか、分からなかった