第5章 キャンディをどうぞ
午後の授業が終わる約15分前、
「いやぁ、助かるわセメントス」
「いえいえ、根津校長にも協力するよう言われているので。それに折角なので見学していきます」
「おっ、じゃあついでによ…」
「―――分かりました」
講師の1人であるセメントスによって、塀付きの四角いフィールドが用意された。上部には、見学席が設けられている。やはり彼の個性は便利なのである。
他の生徒が集まると、フィールド中央に2人がスタンバイしていた。
「で?勝己イチの個性知らねぇだろ、聞いとくか?」
「ッざけんな。敵の個性なんぞ初めっから分からねぇだろ」
「そりゃそうだ。イチ、お前は良いんだな」
イチに尋ねる。
「勝己が、イイなら。
で勝己に勝ったら信用?してもらえるって事でいいの?」
イチから爆豪に尋ねる。
「フざけんなオレが勝つ!」
「じゃあ、こっちが勝ったらお願いきいてよ」
「あぁ゛ッ?」
「勝ったらアイス食べに行きたい!」
目をキラキラさせ興奮しながら要求するイチに、爆豪が答える前にウェンウィルは釘を指す。
「イチ…あくまで授業だかんな」
「だってご褒美がないと上がらないよ!」
懇願するイチが爆豪を見る。
「…いいぜ、勝てばアイスだろうが何だろうが連れてってやらァ俺に勝てればな!」
BOMッ!!
「♡」
良いって!と、言わんばかりにウェンウィルを見るイチ。男はため息をつき「勝てればな」とだけ言った。
「コチラ瀬呂。爆豪すでに悪い顔になってるぜ」
「コチラ上鳴。何言ってんだ、通常じゃねぇか」
「コチラ峰田。奴はムッツリだ」
「でもよ、急にバトルってどうしたんだろうな?つーか、イチが手合せすんのようやく見れんのな!」
「あの小さき体でどう爆豪を相手にするのか…お手並み拝見だな」
「見るっきゃないよね!!怖いけど楽しみー!」
「でも3分だなんて決着つくのかしら?爆豪ちゃん相当気合入ってるみたいだし」
「確かに体育祭みたいに、気合いはいっとる感じだ。ねっ、デクくん」
「あ、そっそうだね。麗日さん!」
「彼はどんな個性なんだろうな?」
「確かにアドバイスしてくださっても、個性は使っていらっしゃらないようでしたわ」
観客席がざわつくと、話を終えたウェンウィルが1つ手を叩いた。
「んじゃ、始めっか」