第1章 chapter 1 -Recognition-
少し走らせ人目のつかない場所までくると私たちは馬車を降りた。
『あまり大声は出さないように、そんなに長居できな・・「わぁ!!」
イザベルとファーランは初めて見るであろう夜空を興奮気味に見つめている。
『ごめんね、本当はもっと綺麗に見えるところに連れて行ってあげたかったんだけど・・・。
何せ時間もなきゃ偽造の通行許可証まで作るのはさすがに・・・』
「すっげー綺麗!!星ってぐるぐる回ってるって本当なのか?!」
『え?あぁ、うん。そうだよ。
もう少し田舎の方に行くともっと綺麗に見えるんだ。
周りの光がないから星自体の光で周りを照らしてて。』
「ハンナ!!ありがとな!」
イザベルは歯を出すと今まで見たことのない笑顔で私に笑いかけた。
『・・・今ハンナって・・・』
「・・・憲兵の奴らってみんな一緒だと思ってたけど・・・
ハンナは俺たちのためにここまでしてくれるいい奴だからな!
あ!ファーラン!!あれ見てみろよ!!」
イザベルは照れ隠しなのかファーランの手を引いた。
「・・・おい」
私は首をリヴァイの方に向けると彼は私の横に立った。
なぜか心臓がドキりとする。
「・・・ありがとう。」
『え?』
微かに聞こえたその言葉に私は目を見開いた。
するとリヴァイは何事もなかったかのようにイザベルたちの方に足を向けた。
・・・あぁ、なんだろう。
私はリヴァイが歩いて行く方に目を向ける。
・・・綺麗。触れたい。
そんな衝動に駆られ手を伸ばしかけハッとした。
報告書だけ読んでいた時の彼らはただの悪人だった。
こちらを舐めている挑発的な態度をとる奴らだと思っていた。
でも、実際に彼らに関わると壊れてしまいそうなほど繊細でとても綺麗だった。
------The first time we met, I had a terrible impression on you.