第2章 chapter 2 -Transaction-
『エルヴィン分隊長!!』
ちょうど3人が馬車に乗り込むところだった。
きっと今から調査兵団の本部に行くのであろう。
「ハンナ、どうした」
エルヴィン分隊長は顔色一つ変えず振り向いた。
・・・わたしがここに来ることを知っていたかのようにも見える。
リヴァイたち3人は黙ってこちらを見ていた。
『・・・どういうことでしょうか?』
「どういうこととは?」
『兵団経験のない3人を突然調査兵団にいれるなど今までではありえなかったことかと・・・』
「わたしは彼らと取引をした。これまでの罪を問わない限りに調査兵団に入団するという取引だ。
上からの許可も彼らからも了承を得た結果だ。」
・・・そんなわけがない。それが理由なわけがない。
何かを隠している。
「それに彼らの立体起動装置は侮れないほどの腕前だ。
ハンナも見たのであれば感じたはずだが。」
『確かに、彼らの立体起動の腕はその辺の憲兵団より遥かに上だと思います。しかし巨人を見たことがない彼らに突然・・・
「ハンナ。君がそれほどまでに止める理由は獲物をとられたという憲兵団副官としての感情なのか個人的に彼らに死なれたくないという感情からなのか。どちらなんだ?」
わたしの思考がピタリと止まる。
『・・・といいますと?』
するとエルヴィン分隊長はそれ以上何も言わず馬車に乗り込んだ。
「ハンナ、ありがとな!また会おうぜ」
イザベルはそう小声で言うといつものように歯をニカっと見せて笑った。
「大丈夫だよ、俺たちなら。またな」
ファーランもそれに続く。
『り、リヴァ・・・「・・・心配するな。」
リヴァイはそういうと馬車に乗り込む。
「・・・憲兵団の団長やザッククレー総統にも話が通してある。これは決定事項だ。」
馬車が走り出す。
わたしにはそれ以上なにもできずただその場で立ち尽くすことしかできなかった。