第1章 初めての恋文
大将
よっ 大将、元気か?
いや すまねえ
なにぶん手紙なんて初めて書くんでな、何を書いて良いやら
今朝も顔合わせただろって話だよな
大将は手紙なんて貰って嬉しいのか分からねえが、文字にした方が言葉にしやすいと思って手紙を書いてみた
俺自身、字なんて書いたのは初めてだからな
下手でも文句言うなよ?
なあ、大将の居た時代では
一体どんな物を見て、どんな物を使っていたんだ?
誰かと遊んだり、話したりはしたのか?
もしかしたら、酷い事を言われたり傷付けられた事もあるかも知れない
俺っちは、主の腹を切らんとされた短刀だ
大将を傷付ける物から守り、大将を傷付ける事や悲しませる事はしない
だから大将、俺から離れるな
絶対守ってやるし、絶対離さねえから
だからさ、大将は俺っちに愛されてろ
俺が求めるのは大将だけだ
好きだぜ、大将
薬研藤四郎