第1章 初めての恋文
主 、
アンタは、いつも何で俺みたいな駄目刀に構うんだ?
俺は、信長様に恩を返す事が出来なかった駄目刀だ
それなのに、アンタはいつもいつも
悪い
こんな皮肉を書きたかった訳じゃねぇんだ
ただ、アンタに大事にされる資格なんかねぇ
分かってるんだ、ちゃんと頭では
だけど
最近、アンタが声を掛けてくれる度に
正直、酒の味が分からなくなる位喜んじまってるんだよ
馬鹿だよな
俺なんかがアンタに釣り合う筈ねぇのにさ
それでも何処かで期待しちまってる
アンタの目が、俺だけを映してくれたりしねぇか
アンタの声が、俺の名だけを呼んでくれたりしねぇかってさ
なあ、これが人の感情っていうヤツなのか?
これが、恋っていう感情なら
俺は、アンタを好きだって言い切っちまっても構わねーか?
不動行光