第1章 初めての恋文
主 へ
今日の夕餉は口に合ったかな
なんて、初めて書く文には不釣り合いな質問だったね
僕はね
一度で良いから、斬る以外の事がしてみたかったんだ
まあ、料理も切る作業はあるんだけどね
僕の前の主、伊達政宗公もね
料理を自らする程、美食家だったんだ
僕は、刀剣の皆は勿論
誰より君に食べて貰えて、美味しいって言って貰えて
本当に嬉しいんだ
君の笑顔が僕に向けられている事に、鼓動が高鳴る僕が居る
君が涙を流すのは、僕の事であって欲しい
そう願わずにはいられない
きっと、この感情こそが
人らしい感情なんだって、僕は思うんだ
有り難う
君が僕を顕現してくれて、僕は君に出逢えた
人が言う運命って、きっとこういう事を言うのかな
好きだよ
誰よりも恋しくて
誰よりも愛しい
この気持ち、受け取ってくれるかな
燭台切光忠