第3章 あの夏の日の男の子
あれから何日か経ったけど私は焦ちゃんと過ごした時間を忘れられずにいた。
もう一度会いたい、また一緒に遊びたい。
毎日そればかり考えていた。
でも、焦ちゃんの家は私の家からは遠い。
エンデヴァーに家まで送ってもらった時、焦ちゃんの家から電車で20分乗った後新感線で2時間かかったことを覚えてる。
気軽に遊びに行ける距離ではない。
焦ちゃんと遊んだ3日後、お父さんが仕事で帰りが遅くなる日だった。
私は正直チャンスだと思った。
焦ちゃんに会いに行くなら今日しかない。
お父さんが仕事へ出かけて数時間後、私は出掛ける支度をした。
お金はお母さんが私に残してくれたお金がタンスの中にあったからそこから2万円出した。
そして今度は、またいつ会えるか分からないから焦ちゃんに自分を覚えていて欲しくてお父さんのカメラを持って行った。
焦ちゃんの記憶の片隅でもいい。
大人になっても私という存在がいたことをほんの少しでも覚えていて欲しかったのだ。
そして今日は私の初めての一人旅だ。
焦ちゃんに会うためにオシャレをしたかったけど、私の持ってる服の中でマシな服は最初に会った時の服しかなかったから前と同じ格好で会う事にした。
目的地は静岡という事はわかってたから駅まで歩いて行った後駅員さんに静岡行きの新幹線に乗りたいけどどうすればいいか聞いて、駅員さんの指示に従いながら切符を買って新幹線に乗った。
新幹線の中は平日なのに混んでいてとても座れる状態ではなかった。
なかなか席が空かず立ったまま新幹線に乗って7駅目くらいで静岡についた。
改札を出て電車の乗り場へと急ぐ。
静岡についた後電車で20分、駅でいうと14駅分電車に揺られなければならない。
電車の切符を買うのにどの駅だったか分からなくて迷っていた私に駅員さんが声をかけてくれた。
「お嬢ちゃんどこ行きたいの?」
『焦ちゃんのおうちに行きたいの』
「しょうちゃん?」
『えとね、ここから電車で20分くらいのところ何だけど…』
「あぁ、ここから電車で20分なら○○駅か!ここのボタン押した後この左下のボタン押せば買えるよ」
『ありがとう』
私は駅員さんにお礼を言って切符を買って電車に乗った。