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覚えているのは、好きだったってこと。【気象系BL小説】

第3章 雅紀の恋人



カウンセリングに行き始めてからも相変わらず彼の声が聞こえたり彼と笑い合う夢をよく見るけれど、頭痛や目まいは少なくなった

そんな俺に安心したみたいで雅紀は休日によく出かけるようになった


元々アウトドア派の雅紀は外出したり身体を動かしたりするのが好きなのに、俺を心配していつも傍を離れようとしなかった

俺としてはただでさえ心配も迷惑もかけてるから心苦しかったけど、雅紀はもっと頼って大丈夫、と笑顔で俺を支えてくれた

嬉しかったしかなり甘えてる所はあったけど、俺なんか気にしないで遊びに行っている姿を見る方が嬉しい気持ちになる


今までは俺のために雅紀の人生を縛ってしまっているような気がしてたから…


それに、


ピーンポーン…

雅紀が仕事に出かけた日、家のチャイムが鳴った


「はーい、いらっしゃい」

「おはよ、翔くん」


玄関を開けると何やら大きな紙袋を持った翼くんが立っていた


翼くんは今でも飽きることなく俺の世話をしてくれている
特に雅紀が出かける日はよく会いに来てくれるし、来れなくても電話やメールをこまめにしてくれる

さすがに雅紀ほどとは言わないけれど、翼くんのことはかなり頼りにしている


目が覚めたばかりの頃はこの数年の日本について色々教えてもらっていた

そもそも俺の記憶では携帯はガラケーが当たり前でスマホなんて知らなかった
もはやあれはパソコンじゃねぇか、と衝撃を受けた

雅紀は高校生から海外に住んでいたから、そういう意味では翼くんがいなかったら俺はスーパーやコンビニで買い物なんて出来なかった



俺は翼くんを知らないけど、翼くんは俺を知っている

なんて関係性に戸惑っていたのはほんの一瞬だった

翼くんはすごく優しくていつも気遣ってくれた
だから俺も変に構えることなく一緒にいることが出来た
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