• テキストサイズ

Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】

第13章 好きだと言うのは難しい【服部平次】


「まあは昔っから意地っ張りっちゅーか天邪鬼っちゅーか……ウチの庭でズッコケて血ぃ出てんのに、全然痛ない!って泣きそーな顔で言うたりなぁ」

「……よう覚えてんなぁそんな昔のこと」

「覚えてる覚えてる。ぎょーさん遊んだ後はのオカンが迎えに来るまでこの部屋で口開けて寝とった事とかな」

「口開けては余計やけどな」

「のことなら何でも覚えてるでー?お化けが怖いんと、雷も嫌いやろ」

「今も嫌いやわー……」

「相撲の関取のことを席を取る人のことやと思っとった事とかなー」

「あーもうそれ恥ずかしいで忘れて!」

「まあ、の事なら何でも分かってるつもりやったんや……俺はてっきりも俺のこと好いてくれとるとばっかり思てたんやけどな、それだけは違たみたいやな」

「っ……それは……それは、少しちゃうと言うか……」

「ちゃうんか?」


待って待って、なんで今その話になる!?
しかもなんや平次は寂しそうな顔してるんやし……なんでそんな顔するんや……


「……でも平次は、別にアタシじゃなくてもよかったんやろ?アンタ女の子取っかえ引っ変えしてるらしいやん。昨日も女の子と歩いてんの見たでー」


なんでアタシってこうなる。また皮肉めいたことを言うてしもた。


「誰のせいやと思てんねん……こっちの気ぃも知らんと」

「ソレそっくりそのままお返しするわ!アタシの気ぃも……」

「は俺のことなんざどーでもええんちゃうんか」

「……どーでもええ訳とちゃうねん……平次のこと……アタシは……」


今ここで“平次が好き”って言うてもしゃーないんやろな。平次には彼女がおるんやし。あーもう、こういう時ってどないしたらええんや。

平次の顔をまともに見られへん。視線が定まらんとアチコチ走る。


「なんや、俺の事どう思てんのや?」

「アタシは……平次が……」

「……先に言わしてもらうけどな、俺は今もが好きやぞ」


ボソッと、少し早口で平次が言うたことの意味を頭で理解した瞬間、脳ミソが沸騰したみたいに熱くなってきた。
/ 632ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp