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満開桜

第35章 タバコ 一成 甘裏


一成『久しぶりに吸ったな…』
フライヤーの案が浮かばず行き詰まった一成はバルコニーで煙草を吸っていた。そこへめぐが来た。
「あれ、カズ?ん?煙草吸ってたっけ?」
一成は咄嗟に煙草を消す。何となくめぐに知られたくないと思った。
一成『あ〜、昔付き合いで吸ってたんだよね〜。最近は吸わなかったんだけど、フライヤーのデザイン決まんなくてさ』
「あ、そっか。毎回思うけど、フライヤーって難しいよね」
一成『ま、楽しいからいんだけどね☆』
「デザインのことは全く分かんないからなぁ。でもカズの作ってくれるフライヤーって役者はもちろんなんだけど、ちゃんと衣装の見せたい所まで考慮してくれてるでしょ?あれ、すごい嬉しいんだぁ」
真っ暗な空に浮かぶ三日月を見ながら言う。
一成『そりゃそうでしょ、ゆっきーとめぐがあんなに頑張って作ってくれてる衣装、やっぱ見てもらいたいじゃん?それに、おみみの撮影テクもハンパないし、俺は提案だけみたいな☆』
「カズのその提案がみんなの魅力を最大限に引き出すんだよね、カズはすごいよ」
一成『なになに〜、褒めても何にも出ないぞ☆』
「だから、そんなに辛そうな顔しないで。何か思うところがあるんじゃない?」
一成『ははっ…誤魔化せないかぁ…』
いつもの口調が嘘のように弱々しくなっていく。
一成『みんなの意見を聞きたいと思う気持ちに嘘はないんだよね、でも俺も挑戦したりとか、こんな風にしたいって気持ちもあって…』
「うん」
一成『でも俺がそれを言ったら今までのものが全部なくなるんじゃないかって、不安になるんだ。それなら、みんなのいい所だけを合わせればいいんじゃないかって。でも作ってるうちにやっぱりこうした方が良かったとか、色々後悔して、そんな自分も嫌で…』
言葉尻に涙声が混ざりながら一成が言葉を紡いでいく。めぐは遮らないように相槌を打って次の言葉を促していく。
一成『ぐずっ…なんか、カッコ悪いとこ見せたなぁ…めぐの前ではカッコ良くいたかったんだけどね』
「それで疲れちゃったらカッコ悪いからダメだよ」
一成『それもそうだね、あ、三日月か…月…星座…そうか、これを濃紺で、』
どうやら何かイメージが浮かんだようでノートに書き留めラフ画が出来上がっていく。
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