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満開桜

第24章 中庭 月岡紬のち兵頭九門 甘夢


めぐの部屋は左京と莇の部屋の前の倉庫。掃除をして107号室として使っている。最初はいづみの隣だったが、中庭にすぐ出られるように一階に移動したのだ。
「今日もあったか〜い…春最高〜」
中庭の木の下で寝転んでいると何か話し声がした。声がする方を見ると紬が水やりをしながら花達に話しかけているようだ。
ヒョコ
「この子は何て名前なの?」
紬『うわっ!めぐ、もしかして聞いてた?』
「うん、いつも話しかけてるなぁって」
紬『前から知ってたんだね…』
紬は恥ずかしそうに頬をかく。
「別にいいんじゃない?好きなものに話しかけるのって普通のことだし。わたしも衣装に話しかけたりするし。ね、この子は名前なんてゆーの?」
紬『(本当に、こういうところは敵わないな…)これはストックだよ。こっちはルピナス、これはペチュニアで、隣は鈴蘭、次が、あ…』
「ん?」
紬『めぐはどんな花が好きなの?』
「ん〜…何ってないなぁ…全部好きだから!だからホワイトデーに冬組のみんながあんなに大っきい花束くれたのはすっごい嬉しかった!」
紬『そっか、あれもみんなの気持ちが詰まってたからね』
「あ、あのオレンジの花。あれ、なんか好きかも!」
紬『オレンジ?あぁ、ハナビシソウだね。(花言葉は確か、)』
「なんか自分見てるみたい…」
紬『え?』
めぐがポツリと呟いた言葉は柔らかく吹いた風に乗ってすぐ消えてしまった。しかし紬には確かに届いていた。
「ね、紬!今度新しい花買うときわたしも行きたい!」
紬『…あ、うん。じゃあ今から一緒に行こうか?』
「やったぁ!じゃあ30分後に談話室集合ね!」
紬『うん、わかった』
バタン
紬『ハナビシソウ…花言葉は“私を拒絶しないで”…めぐ…俺の考え過ぎかな…』
めぐが好きだと言った花。心に何か引っかかりを覚えた紬だがめぐと出かけるため中庭を一旦後にした。
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