第10章 はじめての夏 シンドバット [完]
シン「ご機嫌だな」
『シンも食べる?』
やって来たシンドバッドに氷の乗ったスプーンを差し出す。
シンドバッドはほれほれとスプーンを差し出すの隣に腰掛け氷を口に入れる。
『美味しい?』
小首を傾げ自分を見上げるにシンドバッド美味しいよと微笑む。
シン「だが…」
シンドバッドはからスプーンを奪うとかき氷を口に含む。
『ん!?』
シンドバッドはそのままに口付け舌を入れる。
ひんやりした氷は絡み合う二人の口内で溶け、の頭がボーッとする。
『ふ、ん…』
今にも意識を手放してしまいそうなの頭を押さえ楽しんでいるシンドバッドの様子に、ジャーファルとヒナホホは呆れた表情でそそくさとその場を去る。
『シンっ…も…だ、め…』
ようやくシンドバッドから解放されたは頬を紅潮させ虚ろな目でシンドバッドを見る。
『息、出来ない…』
は息を整えながら途切れ途切れ話す。
シン「そんなに良かったか?」
『人前であーゆうのは…』
は目を泳がせ言葉を濁し、シンドバッドはニヤリと笑う。
『あ…』
は机の上ですっかり溶け切ってしまった、かき氷であった赤い液体を切なげに見つめる。
シン「かき氷なら、俺がいつでも作ってやろう」
『んっ!』
シンドバッドはの肩を抱き寄せ、再びその小さな唇に自分の唇を寄せる。
声を漏らしながら懸命に自分の口付けに応えるに、シンドバッドの支配欲が満たされる。
そんな二人の周りでは、桃色のルフがピィピィと音を立て羽ばたいていた。
アラ「ジャーファルお兄さん、中庭の方にピンクのルフが沢山飛んでいるよ?」
ジャー「アラジン、見てはいけません」