第12章 キツネアザミと矛盾の芽

彼女との行為中には気にしておくべき点が多い。
特に手、それから唇。

見つけたそばからその手を取って握ってやると、ﾋﾞｸ、と肩を震わせて声が漏れるようになってくる。

『ぁ、あｯ、だめ、いま手にぎっちゃやあ……っ♡』

「だーめ、握りすぎ。また痛いことしてただろ」

『だって声出ちゃうからｯ』

「出したらいいじゃねえか、可愛いよ」

『……そんな風に言うの中也さんくらい……ぁ、ダメ待ってごめんなさい他の人の話しないからまって、まってｯ』

待たずに再び口付けると腰を捩らせる。
そのまま唇を舐めれば短く鳴いて、口を開けてくれた。

「いい子」

『あ……♡……ｯ、ん…………ふ、ぁ……♡♡』

そういや深めのキスもしばらくしてなかったな、絶対強請られると思って避けてたわけだが……うん、反応が妙に良い。
撫でられながらキスするの好きだもんなリアちゃん、今日はたっぷり甘やかしてやろう。

「ん、ちゃんと息吸って」

『……ぁ、え……？……は、はい』

すぐ息止めちまうのも相変わらずだ、下手くそで可愛い。

呼吸を整えていくのを褒めるように撫でて頬や耳にキスしていれば、少しぼうっとしたような。

「ほんと可愛い」

可愛がりつつ下着の留め具に手をかけたところで、少しの違和感。
なんというか……育ってるな？？？

恥ずかしそうに目を閉じて顔を背けられたが、耳まで真っ赤なのを見るにそのまま思考が伝わっているのだろう。

「……リアちゃん、今度下着新調しようか。言いにくかったろ、気付くの遅くなってごめんな」

が、そうくるとは思っていなかったのかこちらを慌てて見てから、そんなことしなくても、と言いかけて口を抑え、しかし俺の顔を見るなり恥ずかしそうにそれを訂正してくれた。

『中也、さんが……好きそうなのにする』

「何でも強請れよ？」

『言ったらほんとに全部するでしょあなた』

「そりゃするだろ」

『わ、私もうすぐいなくなるんだよ？？そんな奴にこれ以上中也さんがお金かけなくても「リアちゃん？」ううぅ、その顔ずるい』

どんな顔だよ、と笑ってしまうが、恐らく俺が顔を綻ばせてしまうのに弱いのだろう。
おまえを見つめるのに優しい気持ちになってしまうのだからもう仕方がないと思ってほしい、随分と好かれたもんだ俺も。

『って、あれ……？そっか、リア今中也さんとしかえっちしてないんだ？』