第11章 珪線石の足音

「いませんけど」

『り、りあがしてって言うのどれだけ恥ずかしかったか知らな「もしかして俺だからOKしてくれてんの？」なｯ！！？……そん、な……だ、誰にでもOKとかしたことな…………ごめ、ぁ、や、やっぱり私穢れて＿＿＿＿』

とんでもない勘違いをさせてしまったところで、唇に指で触れてこちらを向かせ、口付けさせてもらった。

「……ｯは、…………悪い、おまえ可愛いからそういうの経験多いのかと思ってた。穢れてるとか、誰にでもとか思ってねぇよ。こんないい女に彼氏の一人や二人いなかった方が不思議なくらいだからと思ってだな」

『？……い、いまの、あの』

「もう一回する？」

『ぇ……ぁ、ｯ…………』

ぎこちない……慣れてねぇし、自分でどうにも出来なくなってる。
そんな奴のどこが穢れてるんだよ、おまえどっからどう見ても処女みたいな反応してんぞさっきから。

「息吸え、止まってる」

『ｯ！……は、…………はぁ、……』

「おまえヘッタクソだなぁ？全然穢れてねぇよそんなの、俺にここまでさせたんだからもう他の誰にもキスとかされんなよ」

『えっと』

「一応俺にも独占欲ってもんがあるから」

『……されたら、どうする？』

「おまえの意思じゃなかったんならそいつを殺しに行ってやるよ」

ぽろぽろと大粒の涙を流して泣きじゃくり始めるので、抱き寄せて落ち着かせる。
まずいことを言ってしまっただろうか、リアがこんなに取り乱してるの珍し＿＿＿＿

『たすけて、くれるの』

「！……もちろん」

『急にどこにもいかない……？ほんとに…………ほ、ほんとに、いやなの、嫌なんだよ……？？』

「分かってるよ」

『…………中也さん、えっちしよう？』

さっきの今でどうしてそうなったとつっこみたくなるが、恐らく俺が分からなかっただけで、これはこの子の愛情表現なのだろう。

「俺はしないって言わなかったかあ？」

『じゃあリアがするから「せんでいい、するな」……中也さんがリアのこと好きって言ったのに』

本性が見え始めてんぞお嬢さん、おまえ好きになった相手にすぐに身も心も全部捧げちまうタチだろさては。

「ダメだ、付き合ってないんだから」

『？何に』

「……交際してないだろ？」

『交際って「恋人じゃないのにしちゃいけません、分かった？」……恋人、って…………あっ、えっ、うん……？？♡』