第11章 珪線石の足音
「あれ、デートに行ったんじゃ?」
『今から連れてってもらうの』
「へえ……なあ、それつっこまない方がいいやつか?」
腕に座るような形で抱え上げられているリアちゃん様十五歳。
廊下ですれ違い再会を果たした立原によるつっこみが機能する。
だよな、お前以外に突っ込める奴首領くらいしかいねぇだろうよ。
『あげないから』
「いやいらねぇけど」
『リアの中也さん「わーってるよ、取らねえって」……い、今中也さんといちゃいちゃってやつしてるの』
「は?年がら年中してんだろ」
『違うもん!!ねえ中也さん!?』
「そうだなあ、過去より今の方がいちゃついてるもんなあ?」
『ほら〜♡』
ご満悦なのだが立原的には差が分からないらしい。
まあそりゃあそうだろう、割と前から俺としてはいちゃついていたし甘やかしていたし。
「リアちゃん絶賛甘え中なんだよ」
『リアの中也さん♡♡』
「……なんか妙に美人だと思ったら、前髪分けてんのか」
『!…………な、何』
「いや、綺麗だと思って」
『へっ♡』
だから言ったろ、とガチで照れてらっしゃるお嬢様に視線を投げると、俯いて顔を真っ赤にしておられる。
『いや、あの、なんか色々ツッコミどころ他にあると……思っ、な、何、何っ』
「いや、なんでそんな隠してたんだよ?事情があったにしてもせっかくそんな美人なのに」
『だってこんな色気持ち悪「んな事言う奴俺が全員殺してきてやるよ、出してる方が可愛いぞおまえ」立原くんに可愛いって言ってもらった……♡』
くる、とこちらを振り向いたリアがちらちらと俺を見つめてくる。
これは……強請られている。
「俺の方が可愛いと思ってるがな?」
『!!♡』
「それに俺の方がリアちゃん好きだし愛してるよ」
『い、言い値で払います』
「何を?」
『貢ぎたくなっちゃっ「おう、やめとこうな?」なでなでやさしい♡♡』
尻尾が生えて揺れる、揺れる。
『も、もっとやって』
「おう」
『もっともっと』
「今日も可愛いなあリアは」
『えへへ、中也さんが目好きってしてくれた……よかったぁくり抜いてなくて』
ピシッと立原と共に固まった。
「どういう事だそれは?」
『ずっとこんなの無くなっちゃえばいいと思ってたから』
「おまえは俺が幸せにします!!!」
「俺もします!」
「俺だよ」