第11章 珪線石の足音

試しにコテでクセをつけ、センターパートにしてやるとまた違った雰囲気になる。

「やっぱりこうも美人だとなんでも似合っちまうなあ？」

『大袈裟』

「おまえは分かってないからそう言えるんだよ、クソ美人このやろう」

『その、なんていうか…………顔よりその……あの、』

何か、ニュアンスの違いを伝えてくれようとしてくれているのだろう。
頑張れと思いつつ待っていると、可愛らしい要望を伝えてくれる。

『…………リアだから、そう見える方がいいっていうか』

「リアちゃん、もうひとこえ」

『えっ、あ、だから……えっと、なんか…………あんまり容姿褒められても、素直に喜べない、から……私』

「うん、でも本当に可愛いんだぞ？？」

『だから……だから、す、好きだから余計に…………みたいな方が、うれしい』

あまりの尊さに抱きしめて撫でくりまわした。
えっ、何おまえんなもん当たり前だろリアちゃんフィルターかかりまくってるに決まってるだろ、俺だぞ？

『えっ、そうなの』

「俺だぞ？？？？？確かにおまえは美人だし可愛いしこの世界の至宝だが」

『いや誰もそんなこと言ってない』

「俺が好きになった相手なんだ、この世で一番に決まってんだろ。一番美人だし一番可愛いんだよ、おまえが思ってるほど俺は他人じゃないからな〜？♡」

まったく、可愛いお願いをしやがって。
顔だけの奴を俺がこんなに可愛がるかよ。

「まあ私情を抜きにしても美人なのはそうなんだがな」

『色んな人がね、にこにこしながらそういう風に言うの。でももう腹の底の思惑とか、家へのゴマすりとか魂胆とかもね、見るの疲れちゃって……あ、中也さんのこと疑ってるとかじゃなくて』

分かってるよと額にキスすると、照れたように俯かれる。

『…………言われるの、ちょっと苦手』

「……じゃあ可愛いにしておこうか。そっちは好きだろ？」

『へ……あ、で、でも中也さんは思ってないのにそんな風に言わないし』

「リアのことなら常に可愛いと思ってるけど？」

『言いたくないって……言ってた』

言ったか？そんなこと。
こんなにも可愛いこいつに向けて？？

『思った時に言うって』

「おう、だからずっと可愛いって言っちまうんだろ」

『……？？無理させてるんじゃないの？』

「俺がそんな器用なこと出来ると思う？」

『もしかしてほんとに可愛いの？』