第11章 珪線石の足音

今しがた、リアの口から中々聞けない子供のような声が聞こえた気がする。

「リアちゃん『嫌です』まだ何も言っていないよ？」

『い、言われなくても分かります。さてはそれで私に“準幹部”なんて肩書き作って……』

「いやあ、どうだろうねえ？僕としてはこんなにも信用出来る子がもしも幹部になんてなってくれたら、心強いったらないけれど」

『嫌ですからね』

「どうして？お給料増やせるし、悪い話じゃないと思うんだけど？」

『だっ、……って…………そ、そしたら中也さんの部下じゃなくなっちゃうもん』

とんでもない理由に面食らわされ、首領でさえもが恐る恐るつっこみ始める。

「そ、それだけ？？」

『い、一番大事なとこです』

「えっと、うん？別に部下じゃなくても中也君と同じ執務室を使えばいいし、同じ任務に行けばいいし、仕事としては大して変わらないと思うんだけど」

『ゃ、だ、だってそれじゃ甘やかしてもらえな「リアちゃん？？」ぴっ！？』

お、尻尾出てきた。

「おまえ、そんなに俺の部下でいたいの？」

『……うん？』

こっち来て離れなくなったなあ？そうかそうか、よーしよしよし抱っこしてやろうなあ。

「どの道後輩なのに、部下がいいのか？？」

『中也さんに私より目かけてもらえる部下とか出来たらリア死んじゃう』

「分かった、じゃあ有事の際には幹部と同等の権力を行使してくれる？そういうことでならいい？？」

『！！リア中也さんの部下のまま？もっといっぱい甘やかしててもらえる？？』

「おまえ何いきなり可愛いこと言ってんの？？？」

『嫌ならリア探偵社からスカウ「「それで大丈夫です」」やったあ、中也さんと一緒……♡♡』

もう少し色々と他に気にしてほしいところではあるが、どうにも俺に甘えていたい年頃らしい。
庇護下にあるという状況が嬉しいのだろう、この子供は。

「と、それから中也君が取り返してきたものなんだけど……リアちゃん聞いた？」

『何をです？』

「君の取られていた鱗と尻尾、中也君が奪い返してきてくれたって」

『…………』

ポンッ、と煙に包まれたかと思えば、体格はほとんど変わらないものの少し痩せたような……縮んだような。

「……リアちゃん？」

が、瞳が澄んでる。
いつもよりも、綺麗な気が＿＿＿＿

『おなかすいた』

「「えっ？」」

『おなかすいた』