• テキストサイズ

ハリー・ポッターと闇の姫君

第11章 【4人目の代表者】


「ハリー・ポッター……」

 その声を聞いて、クリスは顔を上げることが出来なかった。――ハリーは『炎のゴブレット』を出し抜く方法を知っていた?それなのに、私達に黙っていたのだろうか……私が小石に包んだ羊皮紙を投げ入れるのを、どんな気持ちで見ていたのだろう――。
 そう考えると、クリスはプライドで体がズタズタに切り裂かれるような思いがした。膝の上で握りこぶしを作り、叫びだしたくなるのを必死に抑えていた。

「僕じゃない……僕は名前を入れていない」

 クリスのすぐ近くで、ハリーが小さく呟いた。その呟きさえ、この静けさの前では全校生徒の耳に入るのに苦労はしなかった。

「僕じゃありません、僕は入れてないんです」
「ハリー・ポッター」

 ダンブルドア校長が再びハリーの名前を呼んだ。しかしハリーは耳が聞こえなくなってしまったかのように返事をせず、同じ言葉を繰り返した。

「僕じゃない!僕じゃないんです!!」
「ハリー!ここへ来るんじゃ」
「行くのよ、ハリー!」

 ハーマイオニーの声におされ、ハリーはゆっくりと、まるで水牛の様にゆっくりと一歩一歩前へ進んだ。その間、誰も声を上げるものはいなかった。
 やがてハリーは他の代表選手と同じ部屋に通された。ハリーがいなくなった瞬間、今度は爆発的に生徒が騒ぎ出した。
 グリフィンドールの席ではフレッドとジョージを初め何人かが椅子の上に立ち上がって、自分たちの寮からも代表選手が出た事に驚きと喝采の声を上げた。

 他の寮からは、ハリーがどうやって2人目の代表選手に選ばれたのかあれこれ推論を立てた。特にライバルであるハッフルパフと、グリフィンドールと犬猿の仲であるスリザリンは、ハリーが汚い手を使って代表選手になったんじゃないかと噂し合った。

「皆、静粛に、静粛に!」

 バーン!と大きい爆発音が大広間をとりまいた。ダンブルドアが興奮した生徒達を静めるいつもの魔法だ。
 生徒達は一斉にダンブルドアへ目を向けた。いったいどうなるんだろう。審査員である各校の校長とクラウチ氏とバグマン氏はハリーの処遇をどうするのだろうかと、皆が皆説明を待っていた。
/ 305ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp