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ハリー・ポッターと闇の姫君

第9章 【炎のゴブレット】


 ホグワーツの生徒達はクラムの存在に気づくと、もっとよく見ようと人ごみをかき分けたり、飛び跳ねたり、あまつさえサインを貰おうと、誰か羽ペンを持っていないか誰彼構わず尋ね回っていた。

 例え有名人だろうが、ロン曰く世界最高のシーカーだろうが、クリスはさっぱりその魅力が分からなかった。
 頭はスポーツ刈りの丸刈りで、肌の色は浅黒く、鼻は曲がっているし、まゆ毛は濃い上に太い。おまけに猫背で不格好だ。言いたくはないが、容姿の点ではまだドラコの方が勝っていると思った。

 4人が大広間に入ると、ロンがさっそく出入り口に一番近い席を取った。ボーバトンとダームストラングの生徒達が、まだまごついて席に座ってないからだ。
 やがてボーバトンの生徒はレイブンクローのテーブルに着いた。ボーバトンの生徒はまだ寒そうにしていて、スカーフやショールを巻きつけていた。それを見てハーマイオニーが「もうそこまで寒くないでしょ!!」とイライラした声を上げた。

 そしてロンのお目当てのダームストラングの生徒達は、なんとよりによってスリザリンのテーブルに腰掛けた。
 それを見てロンが、頭にたらいでも落っこちてきたかのようなショックを受けていた。その上ドラコがこれ見よがしにクラムに話しかけているもんだから、ロンの心中は計り知れない。

「ねえハリー、クラム達はどこで寝ると思う?僕らの部屋に空きを作ったら泊まってくれるかな?僕、ベッドを貸しても良いよ。僕は折り畳みベッドで寝るから――」
「馬鹿な事言ってないで、正気に戻りなさい。ほら、先生方もそろって来たわよ」

 ハーマイオニーの言う通り、先生方がぞろぞろとそれぞれのイスに座り始めた。だがイスの数がおかしい。ボーバトンとダームストラングの校長が増えただけなのに、ダンブルドアの隣にはそれぞれ2脚ずつイスが置かれている。

「なんでイスが4脚もあるんだろう?」
「何か言った?」

 ロンの心は未だクラムに注がれていた。ダンブルドアが入って来て、続いてマダム・マクシーム、カルカロフ校長が席に着くと、皆お喋りを止めてダンブルドアを見た。
 大広間がシーンと静まり返るとダンブルドアはにこやかに微笑んだ。
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