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ハリー・ポッターと闇の姫君

第7章 【S・P・E・W】


 それからまた3人は口数が減り、黙々と夕食を口に運んだ。しかし今日の夕食ほど味気の無いご飯は初めてだった。いつもなら美味しいはずのデザートのチーズタルトも、チョコレートプリンも、まるで喉の石ころが詰まった様な気がして味が無かった。

 夕食を終え、談話室に帰る途中、ハリーが「『占い学』の宿題をやろう」と声をかけてきた。ロンとクリスはそれに賛成して『太った婦人』の肖像画の穴を這い上がると、一旦寝室に戻り、それぞれ宿題をもってまた大広間に戻ってきた。

「あ~あ、これほどやる気の失せる宿題も無いよな」
「文句を言わず手を動かす」
「君、ちょっとハーマイオニーに似てきたぜ?」

 「ちょっとでも自分の得意分野がからむと途端にやる気を出すんだから……」とぶつくさ言いながら、3人は『占い学』の宿題に取り掛かった。
 しかし1時間たっても、作業は一向に進まななかった。テーブルの上には計算した座標の縮図や、数式、教科書に載っている暗示や記号があちらこちらに見られたが、肝心の予言は殆どと言って良いほど読み取れなかった。

「これ、いったい何の役に立つの?」
「今はそんなこと考えない方が良い」
「よし!僕決めた!こう言う時は“困った時の占い学”だ!!」
「それって――でっちあげ?」
「That's right!!」

 ロンは指をピッと立てると、テーブルの上に散らばっていた羊皮紙の走り書きを丸めて、新しい羊皮紙に大きな文字で月曜からの『予言』を書きはじめた。

「月曜の夜――僕は咳が出はじめるでしょう。何故なら……火星が13の数字を現すオポジションに入ったから」
「いいね、それ。僕もそうしよう」

 ハリーもそれまで書いていた羊皮紙を丸めて暖炉に投げ入れると、新しい羊皮紙に急いで書きはじめた。
 クリスは飽きれてものも言えず、自分だけは必死に天球図や羅針盤、星座表を見て教科書とにらめっこを始めた。

「あの先生の事だ、酷い目に遭えば遭うほど喜ぶぜ、きっと」
「よし、じゃあ僕は月曜、火傷をする事にしよう」
「うん、そうなるぜ。きっと僕は――大切なものを無くす、で良いんじゃないか?」
「OK!それいただき!!」
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