• テキストサイズ

ハリー・ポッターと闇の姫君

第12章 【木綿のハンカチーフ】


 スネイプが運ばれてた後、地下牢の教室ではみんな好き勝手な事をして遊んでいた。スリザリン生は『汚いぞ、ポッター』と書かれたバッジをこれ見よがしにハリーに向けて、ハリーをからかっていた。
 クリスはもういちいち注意するのも面倒で、ほったらかしにして『魔法薬学』の予習に専念していた。

 そんな中、教室の戸をノックする音がしたと思ったら何故かコリン・クリービーが顔を出した。コリン・クリービーと言えば、クリス達の1年下でハリーを英雄と崇めている信者の1人だった。コリンの顔は紅潮して興奮気味だった。

「ハリーはいますか?僕、ハリーを上に連れて行くように頼まれたんですけど」
「コリン、何の用?」

 ハリーの声はドスがきいていた。体の中にたまった怒りを少しでも発散させているみたいだったが、そんな事で怯むコリンでは無かった。それは次の言葉を聞けば十分理解できた。

「バグマンさんに頼まれたんです、ハリーの写真を撮るって!きっと『日刊預言者新聞』に載せるためだと思います!」

 この任務を、コリンは最高の栄誉だと思っている様だった。しかしハリーにとっては死刑宣告にも近い宣言だった。それでなくともこれ以上目立ちたくないと思っているのに、新聞に載せるため写真を撮るなんてネタにされる恰好の材料だ。案の定、それを聞いたドラコが大笑いをしてはやし立てた。

「おい聞いたか?ポッターが新聞に載るんだってよ!皆今のうちにサインを貰っておけよ、有名人さんはこれからお忙しくなるだろうからさ!」

 ハリーがドラコを睨みつけた。ドラコはそれを何とも思わず、他のスリザリン生と一緒になってバカ笑いしていた。しかしクリスがわざとらしく咳ばらいをし、召喚の杖で床をコツコツ叩くと、ぎくりと表情を変えた。

「ドラコ、お前にも医務室のベッドを1つ用意する必要があるみたいだな?」

 クリスはそう言ってにっこり笑った。いつもみたいに怒られるより、こっちの方が数段怖かった。そのおかげでドラコを初めスリザリン生は大人しくなったが、皆『汚いぞ、ポッター』というバッジを光らせるのだけはやめなかった。
/ 305ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp