第2章 急展開
それから…家に帰ったあと、夕食を食べ、お風呂に入った。お風呂から出てきた時には、もう部屋に春樹がいた。
「早いね、来るの。」
「まあな。」
ベッドが1つしかないので、いつも春樹は床で寝ている。敷布団を敷こうか?と言っても、毛布だけあればいい。と何度も言われているので諦めた。
「…」
春樹の横を通った時、あの女の人の香水の匂いがまだ残っていた。
「お風呂入ってこなかったの?」
「あぁ…。学校から帰ってきたあとに入ったし。」
「…汚い。」
「は?」
「…匂いついてるから。臭い。」
「フッ…嫉妬してんの?梨沙に。」
「!…嫉妬って……別に付き合ってるわけじゃないし…。」
でも、付き合っているわけでもないのに嫉妬しているのは…紛れもなく私で…。
「あ、わかった。」
「…何?」
「付き合えばいいんじゃねぇの?俺ら。」
「……え?」
「そうすればずっとそばにいられるだろ?」
「…い、いや…いつもそばにいるじゃん。」
「それ以上にいられんだろ?」
「そ、そうだけど…。」(ん…?ちょっと待って…?)
じゃあ私の長年片思いしてきたこの気持ちは何?
約5年、片思いしてきたのに…こんなにすんなり?
「ちょっ…ちょっと待って?」
「何?」
「春樹は良いの?」
「俺が良いって言ってんだから良いんだろ?」
「…ほ、他の女の子と遊ぶこともできなくなるよ?」
「別にいい。あんま好きじゃねぇし。」
「で、でも…春樹の好きと私の好きは違う。って…言ってたじゃん。」
「…そうだよ。」
じゃあ付き合う意味。
「じゃあ、付き合えない…。」
「……そっか…。」
「…」(そりゃ…春樹が私を友達として好きなら、付き合っても意味がないと思う。)
誰もが思ったはず。勘違いって怖い。ということを。