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刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第49章 肥前、捻じれた世界へ行く 2 〔肥前忠広〕


それらに対し、肥前は眉を寄せて困惑する。

「…なんで騒がれるのかわからん。戦うのはオレにとっては当たり前だ」

「戦うのが当然とはぶっそうなところで育たれたようで」

ジェイドの言葉に肥前はきっぱりと否定する。

「違う、育ったのではない。オレは戦うために顕現された刀だ。ヒトの姿を得ているが人間ではない」

その言葉にジェイドと側にいたアズールは目を丸くする。

「え…ヒゼンさんは人間ではないのですか?」

「違う。オレは刀だ」

肥前は左手を前に出して何やら念じる姿を見せた、と思うとその手に少しカーブした鞘に入った日本刀が表れる。

「魔法…使えるのですか?」

アズールが驚く。

「これがオレの本体、肥前忠広という日本刀だ」

左手で鞘を持ち左腰にそれを下したと思うと、右手ですらりと刀を抜いた。

アズールたちの目の前に光る刃が迫り、彼等は目をみはった。

「これが…ニホントウ…?」

「刀が生まれた国が日本と言うから日本刀と呼ばれる」

アズールが感心したように刀に近付いて刃を見て言った。

「美しい…ですね…」
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