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刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第46章 肥前、捻じれた世界へ行く 〔肥前忠広〕


「ウニちゃん!」

近寄ってきたフロイドは、おれたちの姿を見て何も言わなくても察したようだった。

「…仲間が来たんだね」

「…あぁ。箒で空を飛べたの、楽しかった」

ひとつだけ感想を告げるとやつは大きく笑顔を見せる。

「あっは、良かったねぇ。ウニちゃん、それいつもの恰好?」

やつはにっと笑っておれの姿を見やった。

刀を差したいつものおれの戦闘服姿に、おれは「あぁ」と短く返すとやつは言った。

「へぇ、ウニちゃんのとこ、みんな着てるの違うしかっこいいじゃん」

「…そうか」

おれはどう返事をして良いかわからず、肯定するしか出来なかった。

「ウニちゃん、帰んの?」

やつはひょいとおれの顔を覗き込んでくるので、おれは当然頷いた。

「おれは刀剣男士。この刀の持ち主である主がおれたちを刀から顕現させ、歴史を改変しようとする敵と戦っている。おれがここにいることを主が気付いて、仲間を応援に寄越してくれて敵を倒したから、おれたちがここにいる必要はもう無い」

「…そっかぁ…元気でね」

やつはおおきな口を開けて笑ってきたので、おれも最後に礼を言った。

「空、飛ぶの、楽しかった。こっちこそ…ありがとう」
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