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刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第46章 肥前、捻じれた世界へ行く 〔肥前忠広〕


「まさか全く違う世界に行ってしまったとはわからなくて、主、ものすごい探してたんだよ。長谷部なんて『肥前のことは諦めましょう。主のおからだが心配です』なんて進言していたからねぇ」

戻ったら長谷部を締めてやろう、そうおれは思った。

「主がようやく肥前を見付けたと思ったら、何かピンチだったらしくておれたちに助けに行ってって、ひとこと言われてそのままここに送り込まれたんだ。気付いたら肥前の目の前にいて、さらに時間遡行軍に囲まれていたってところかな」

「魔法を使えるところねぇ、こうしてみると違いはわからないけどさ」

和泉守は気付いたように、こちらを見ている生徒たちに呼びかけた。

「おぅ、もう時間遡行軍はやっつけたからな、自分のと間違えて持っていくなよ」

わっ、と生徒たちが走りよってきて、落ちているペンを拾って自分のものを持って行く。


「…あのぅ…」


おそるおそるといった体で話し掛けられると、制服を着た生徒が近寄ってくる。

「あの…ペンを…取られないようにしてくれて、ありがとう」

「おぅ、気を付けろよ」

和泉守がにっと笑って言うと、その生徒は何度もこちらに頭を下げ去って行った。



「さて、そろそろ戻されるかな」

「肥前もようやく帰れるね」

先生が空を向いて言う。

おれもここから本丸へ戻れるんだな、と思っていたら、あの緑色のフロイドの髪の毛と長身が見え、見えたと思ったらあっという間にこちらへ来た。
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