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白夜に飛ぶ鳥【ONE PIECE】

第5章 密航者


「うん、ひどいひどい。俺のこと解体するなんて」

 無責任に放言したのはマリオンだった。の手を握って「だからこんな船、二人で降りよう」とそそのかす。逃避行の連れ合いが欲しいみたいだった。ペンギンの蹴りとシャチの拳が同時に炸裂する。

「てめぇ調子に乗るなよ」
「樽に詰めて海に放り込むぞ」
「は船を下りたりしないよ!」

 ぎゅう、とを抱きしめてベポも力説した。肝心のはベポの贅肉で窒息寸前だった。

「ベポ、を殺す気か」

 ローはベポからを引き剥がした。危うく死ぬところでの涙は引っ込んでいたが、ローに気づくとさっとベポの背後に隠れる。

「……。マリーアのところで一回、悪魔の実の話をしただろ」
「……?」
「きょとんとした顔すんな」

 目の見えないにどう説明したものかとローは頭を抱え、ちらっとペンギンを見ると「説明はペンギンがする」と丸投げした。

「ちょ、キャプテン――!」
「船長命令だ。に今すぐ悪魔の実と能力のこと説明して理解させろ」

 切り刻むたびにに人殺しと泣かれてはたまらない。この問題はここで解決しておきたかった。ローはペンギンの講義を監修すべく、どかりと診察室の自分のイスに座った。

「ええと、悪魔の実ってのは海の悪魔の化身で――」

 しどろもどろに説明するペンギンに顔を向けながら、はベポの毛皮を撫で続けている。あまり集中してはいないようだ。

「おいしい?」
「え?」
「悪魔の実」
「いや味は……俺は食べたことないから」

 ペンギンに視線を向けられ、ローは「クソ不味い」と答えた。オペオペの実だけがあんなにまずかったのかはわからないが、極上の味という話は聞かない。

「なら食べたくないね」
「ええとね、、そういうことじゃなくて……」

 困った顔で見てくるペンギンに、ローは知らん顔した。日頃の恨みがあるので若干いい気味だ。
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