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甘やかしてよ、トリュフ

第3章 生クリームと刻んだチョコを混ぜ合わせます



「…そうやって、ココアを全体にまぶして〜、ホラ、もう完成!」

とても見た目のよいトリュフチョコが目の前に並んだ。
秋也くんは「わあ…」と嬉しそうに目を輝かせた。うんうん、今日1番、年相応の表情を見せた気がする。私もなんだかとっても嬉しかった。

「味見してみていいですか」
「もちろん」

トリュフをひとつつまみ上げて、秋也くんは口に運んだ。

「甘くて美味しいです」
「よかったあ。まあ簡単なレシピだしね、初心者でもそうそう失敗しないよ」

そう、別に私のお手柄って訳じゃない。秋也くんの器用さを見るに、ちょっとネットでレシピ検索でもすれば、楽にこの程度は作れただろう。

「秋也くんがお料理上手だって最初からわかってれば、もっとちゃんとしたメニューにしたんだけどなあ。ていうか、そんなに出来るんならわざわざ私に聞かなくてもよかったんじゃない?」

そう言うと、秋也くんは少し困ったような表情をした。

「いえ…1人だと、やっぱり難しかったと思います。色々と…。ええ、作るだけならできたかもしれませんけど、作るだけでは駄目だし…。有さんのおかげでここまでこれました」

なんでそんなに深刻そうなんだろう?
まあ彼なりに恋の悩みとかあるのかな。なんたってバレンタインチョコだもんね、ただのお菓子づくりとは訳が違う。そもそも男なのに作ってるって時点でちょっと変わってるし。

思春期の男の子のことだから、下手にアレコレ言わないほうがいいかもしれない。と結論づけて、私は先へ進むことにした。

「じゃあラッピングしようか。ラッピング材は持ってきてるんだよね?」
「はい。簡単なものですけど」

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