第6章 脆い壁
「お次はS駅~、S駅~」
電車に乗って暫くぼんやりとしていた。
停車駅二つ目。聞き慣れた駅名。
ドアが開いてすぐ降車。
ドタバタと流れる人。
「璃依たんだ!」
「え!?まじ?」
「誰ー?」
「モデルさんだよ!すっごい可愛くて憧れなの」
夏休み終盤間近。
学生は宿題を後に、お出掛け。
主に女子中高生が殺到。
握手やサインを貰いに押し寄せる。
「嘘、でしょ…」
思わず後退り。
そのままぐるっと反対方向。
笑顔で手を振って逃げます。
諦めないファンたち追いかけます。
鬼ごっこ開始。
いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ"!!!
少女の悲痛な叫び。
誰の心にも届かず。
こんなにモデルをやった事を後悔した日はない
────赤司璃依、談。