第6章 脆い壁
「はい、並んで~
…って征十郎、何でそんなに泥だらけなの?」
現場はすっかり撮影所。
カメラを構えた母はふと疑問。
同時に長女の肩が微動。
「璃依さんに押し倒…」
「わわわわわー!!」
言葉を遮る。ぱぱぱっと征くんの口を塞ぎにいく。
“押し倒された”なんて恥ずかしいこと言わせるもんですか!
意地悪そうな微笑み征くん。
むむむっと涙目の私。
カメラの前で隣に並ぶ。
「そういえば、璃依でいいよ。
さん付け要らない」
ボソッと耳元で呟く。
カメラ目線。ピースサイン。
「はい、チーズ!」
“璃依”
私の名前を呟くように呼んだ彼。
その顔はとても綺麗で。
見蕩れた。
頬が熱くなるのを感じた────。