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Invisible world【グレンラガン】

第1章 1部





「…はあ」
山というには小さいが丘というには少々高い。頂上に向かう私は小さく溜め息を吐いた。
「っ…体、鈍ってるなあ…」
そう呟くと脇に抱えた花束を持ち直す。

大グレン団リーダーのカミナの命日から数日経った今日。私は墓参りにこの小山に来ていた。
ただ独り、連れも無く。
「早く着かないと花が枯れちゃうよ…」
誰に聞かせる訳でも無く、独り言を呟く。

カミナシティを出て数時間。ガンメンに乗ればあっという間だったが、流石に頂上まではガンメンで行けない。行く気も無い。
そして照りつける太陽の活躍する陽中は暑い。まごまごしていたら本当に枯れてしまうだろう。




テッペリン攻略戦から、もうすぐ一年が経つ。
あの強大だと思われた螺旋王を倒してほぼ一年。思えばあっという間だった。

私、は大グレン団の一員だ。テッペリン攻略戦にも参加した。
当時はガンメンに乗ってはおらず(キタンが連れてきた一部の人間とグレンラガンのみだ)、テッペリンの跡地にカミナシティと名付けられた町が出来始めてからガンメンに触るようになった。
触ってみたら意外と相性は良く、すぐに工事などに使いこなせる様になり、戦闘専門のガンメン乗りからも感心されたものだ。

「、この前の一周忌のお墓参りに来なかったわね。どうしたの、何かあった?」
町を整備するのが私の仕事になった。公園を作るという計画に一緒に参加していた、戦友であり友人のヨーコが休憩中心配そうに私に尋ねてきた。
「…何も無いよ。ちょっと都合がつかなくて。大丈夫、今度一人で行くから」
休憩に配られた飲み物の蓋を開けながら、ヨーコに向かって微笑む。
「一人で? 危ないじゃないそんなの! いつ行くの? 私も付いてこうか」
「大丈夫だって。ガンメンで行けばすぐだし」
心配顔のヨーコに「大丈夫!」と大袈裟すぎる程のリアクションを返して飲み物を煽った。

(…ごめんねヨーコ)
…本当は一人で行きたい理由があるんだ。
補給した水分と本音を喉に流し込む。


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