第3章 すれ違う心………揺れる気持ち
ー主人公視点ー
あの日から私はどうしたらいいかわからず、ずっと家に閉じこもっていた。
メールを作成しては消すを繰り返す日々………
どうしてもあの日の太輔くんの赤い目を思い出すと、怖いと思ってしまう。
別に何かをされた訳じゃない。
むしろ、私には優し過ぎるくらいだった。
大切にされている事が、凄く伝わっていた。
「太輔くん………」
携帯を開くと笑顔の2人。
初めて太輔くん達のコンサートを見に行った時に2人で撮った写真。
太輔くんは恥ずかしいからと最初は嫌がっていたけど、最後にはちゃんと撮ってくれたっけ。
写真の中の太輔くんは、私が知っている優しい笑顔。
私の頬に一筋の涙が溢れた。
あの日、私を見つめる太輔くんは悲しそうに見えた。
あんな顔の太輔くんは初めて………
なのに私は太輔から逃げた………
いつもの優しい顔と、あの日の悲しそうな顔が頭の中でぐるぐると回っている。
ねぇ、本当の太輔くんはどっちなの?
わからない……………
私はどうしたいの?
わからない…………わからない…………
私は頭を抱えた。
そんな時、メールが来た事を報せる音が鳴った。
送信者は………木村さん
《今日、時間あったらお店においで!by.拓哉》