第1章 貴方との出会いに、敬礼
オタクの夜は、理性との勝負。
『〜〜っっ!!!』
大声で騒がないよう、喜びを無言で表現し、ガッツポーズを決める。
(推し一発どりやん....やったぁ...!!!)
仕事終わりにアニメ店でトレーディンググッズを買い、家に帰りやっと封を切れるこの瞬間...!!
幸せに満ち溢れる気持ちで、そのグッズをそっと愛でる。
これは、オタクなら誰しもが共感する行為であろう...。
『いらっしゃい、理鶯〜〜♡』
数多のオタクのひとり、この苗字名前も、今この瞬間に感激感謝している。
『はぁ〜〜まじ無理しんどい...今日めっちゃついてるなぁーー!!ふふふん!』
そう言いながら、先程引き当てたグッズを机にそっと置く。
机を見渡せば、様々な推しグッズがしっかりと飾られている。
えへへ、と笑みをこぼしながら、名前は布団に潜った。
『明日はもっと楽しくなるよね、りお太郎...』
とかなんとか、理鶯クッションを抱きしめ、気持ちの悪いことを考えながら眠りについた–––
しかし、
その日を境に、
彼女の生活は一変した