第13章 13
2人で出掛けた日から数ヶ月。
なんとなく気まずくなり、あの日以来アーサーを避けるようになった。 相変わらず精力は貰っていたけれど…
浮ついた気持ちを抑え込むため、彼の灰を再び身に付けるようにもなった。
そして、私がこのお屋敷に来てから1年が過ぎていた。
ある日のこと
今日はアーサーに手伝って欲しいことがあると言われている。
朝から2人で会うのはあの月の日以来だ。
コンコン。
反応がない…
もう一度、コンコン。
また、反応がない。
「アーサー?私だけど、部屋に居る?」
扉越しに声を掛けるが、これにも反応がない。
仕方なく部屋のドアノブを回してみると、鍵はかかっていない。
少し開いて隙間から中の様子を見ると…
「アーサー…?」
机に突っ伏して眠っている姿が見える。
突っ伏した机には原稿用紙が広がっていて、アーサーは眼鏡も外さずに眠ってしまっているようだ。
「どうしよう…帰った方が良いかな…でも、あのままだとアーサーの身体が冷えちゃいそう…」
肩に毛布を掛けるだけ…掛けたらすぐに戻ろう。
そう決めて部屋に足を踏み入れる。
「失礼しまーす…」
なんとなく悪いことをしているような気持ちになりながらも、ベッドから毛布を下ろしてアーサーの肩から掛ける。
「…眼鏡、歪んじゃうかも」
アーサーの顔にかかったままの眼鏡も外そうと思いフチの部分に手を伸ばすと…
「ひぁっ!」
突然ガシッと腕を掴まれて変な声を上げてしまう。
び、びっくりした…
「アーサー…?起きたの?」
「ん…」
声をかけると、薄っすら開かれた瞳と目が合う。
「もう、こんなところで寝たら身体が冷えちゃうよ?」
まだぼんやりとした様子のアーサーにベッドで眠るように促す。
「じゃあ、今日は私戻るよ…?何かあったらまたーー」
そう告げて部屋を去ろうとすると
「待っ…て…」
アーサーに呼び止められる。
「どうしたの?何か欲しいものでも…」
もう一度アーサーの方へ向き直る、
こうして話すのも随分久しぶりな気がした。
すると…