第11章 11
お互いの不安を消すように
私達は暫くの間無言で抱きしめあった
触れ合った場所からお互いの体温が溶け合い、
境目がわからなくなってきた頃
ようやくアーサーの腕が緩められる。
「キミってば危なかっしいし、テオの言ってた通り本当に首輪を付けちゃいたいなー」
アーサーが冗談めかして呟く。
「え…首輪、付けられるの…?」
動揺する私
「んー?さぁね。でもまたこういうことがあると困るし、リードとか付けちゃいたいなー」
「や、やだ!今後は一人で行動しないから!」
「ホントー?俺の目の届かないところには行かない?」
「行かない!だから首輪やリードはやめてっ…!」
必死で断る私だけど…
「そ?じゃあ約束ね、今後は俺と一緒に行動すること。屋敷の皆んなの手伝いで外出する時は俺が迎えに行くから。」
計画通り、と言いたげな顔のアーサー
「あ、あれ…?なんか…」
なんか、上手く乗せられた…?
「待って、やっぱり「ダーメ、約束だからね?」
アーサーは楽しげに微笑んでいる
「アーサー、まさか最初からそのつもりで…?」
「どうかなー?まあ、キミのご想像にお任せってことで」
「……。」
私がむすっとすると
「ぷっ…冗談だよ。流石にそこまでキミを縛り付ける権利は俺にはナイからねー。
まあ、キミが危険な目に遭わない為の努力は惜しまないけど。」
「なんだ、びっくりした…」
言葉とは裏腹に少し残念な気持ちになってることには…
気がつかないフリをする。
「夜が明けそうだね。キミが目を覚ましたこと、屋敷の皆んなに伝えてくるよ。」
窓の外に視線を向ける
明るい…夜が明ける。
同時に二人きりの時間に終わりを告げられているよう
「少し…寂しいな…」
気付いたらそんな言葉が口から出ていた。
「えっ?」
アーサーが目を丸くして聞き返す
「な、なんでもない!」
「そーなの?」
アーサーに聞こえてなかったみたい、よかった…
「私、自分で歩けるよ。目が覚めたこと、自分で伝えたい。すごく心配と迷惑をかけてしまったから…」
目を伏せる。
「そ?それじゃあ一緒に行こうか。手を引いてあげる。」
アーサーから差し出された手を握り、私達は部屋を後にした。