第19章 この先の永遠を
「今すぐってワケじゃない。俺だってこのお屋敷は気に入っているし、居心地も良い。でも…俺はキミと……
アナスタシアと、家族になりたい。」
「それって…」
家族になる…
私でもその意味はわかる。それってつまり…
「アナスタシア、俺と結婚してくれる?」
「ッ、アーサー…そんなの、そんなの断る訳無いでしょ!」
感極まってアーサーの胸に顔を埋める。
アーサーも私の身体を抱き締める。
「あー、今言うつもりじゃなかったのに…」
抱き締めるアーサーが呟く。
「そうなの?」
「ん、そーなの。キミは仕事中だし…
俺まだ指輪も何も用意してナイし…新居だって決めてないのに。本当は全部決まった後にキミに伝えるつもりだったの。でも我慢出来なくて…カッコ悪いな、こーんな余裕のないところキミには見られたくなかったのに…」
「私はどんなアーサーも好きだよっ…!」
「ありがと、今度改めてキミに正式にプロポーズするよ。
必ずキミを驚かせてアゲル。
だから…期待してて?」
「っ、うん!期待してるねっ…!
2人は再び抱きしめあうと、誓うように口づけを交わした。
……
こんなにも私を愛してくれる人に…また出会えて幸せだ。
ありがとう、貴方。
そして…ありがとう、アーサー。
貴方を亡くした後、もう二度と誰かを愛することは無いと思っていた。
貴方が私を生かしてくれた。貴方がくれた命でここまで生きることが出来た。そして、私はまた誰かを愛せるようになった。
きっと彼が最後の人。最初の貴方も、最後の彼も…
私に幸せを教えてくれてありがとう。
あなたが居るから私は生きていける。
これから先の長い長い時間を…最愛のあなたと、生きていこう。
落花 完