第19章 この先の永遠を
よく晴れた日、心地よい風を感じながら私は今日もお屋敷のお仕事をこなしていた。
「これだけ晴れてたらすぐに乾きそう!風も気持ちいいなぁ…」
両手にいっぱいの洗濯物を抱えて中庭に出る。
いつものように、洗いあがったシーツやタオルを干していると…
「きゃっ!」
急に背後から誰かに抱きしめられた。
犯人は…わかってるんだけど。
「もうアーサー!今お仕事中なんだよ?」
私を抱き締める腕を軽くはたく。すると…
「えー?だって…起きたら俺の隣で眠ってる筈のキミが居なかったんだもん。俺を置き去りにするなんてひどいよねー」
拗ねたような声で呟くアーサー。
「だって…アーサー、ぐっすり眠っているみたいだったし…
起こすのは可哀想かなーと思ったの。」
「俺は起きた時にキミが居ない方が嫌なのー。おはようのキスもまだだし…」
アーサーが私の顔を覗き込む。
あ、前髪に寝癖…
可愛いなぁ、と思いながらアーサーの前髪を軽く撫でる。
「ん…どうしたの?」
「前髪に寝癖がついていたの。可愛いなぁと思って…」
思わず本音が漏れてしまい、しまった!と思う。
アーサーは可愛いって言われるの嫌いなんだった…
「うわー、ナニソレ…かっこ悪い…」
アーサーは目を逸らす。頰が少し染まっていた。
「ご、ごめんね?アーサーはかっこいいよ?」
慌てて訂正するも…
「ちょっと!余計に恥ずかしいんだけど…」
「えっと…ごめんね?」
「もー…キミにカッコ悪いところなんて見られたくナイのに…」
アーサーはバツが悪そうにしている。
アーサーはそう言っているけど、私はもっとアーサーの色んな表情が見たい。寝癖を恥ずかしがるアーサーだって私の大好きなアーサーに変わりは無いのに…
「私、アーサーをかっこ悪いなんて思ったこと無いよ?
今朝だって寝惚けてるアーサーを見られて嬉しかったし…
今みたいに寝癖の付いたアーサーも、拗ねてるアーサーも…どんなアーサーでも好きだよ。」
真っ直ぐな気持ちを伝える。だって、本当に大好きだから。
「それは反則デショ…!」
再び抱き寄せられ、アーサーにキスをされる。
「んっ…アーサー、誰か来たら…!」
ここは中庭だし、いつお屋敷の人達が通るかもわからないのに!