第18章 永遠にキミを
テオ「もう3ヶ月になるな。」
数百年経った今でも親友のテオが呟く。
「ん…そうだね…」
あの日、2世紀振りにやっと会えたキミを連れて、お屋敷に戻った。
でも…あれからキミは目を覚まさない。
キミを探していた200年に比べると数ヶ月くらいなんてことはないと思った。
「けどやっぱり…彼女の声が聞きたい。」
眠り続けるキミ。
目を覚ました時一人きりなんて可哀想だから
俺はあれからずっと彼女についている。
綺麗な顔で眠ったままの彼女を見つめる。
屋敷の皆も…テオも…毎日この子の様子を見に来ている。
テオ「アーサー、お前もいい加減休め。
こいつが目を覚ました時…お前が衰弱していたんじゃ話にならん。」
テオが呟く。
「なーに、心配してくれるのー?テオはほーんと優しいよねー。
そう言うテオだってほとんど休んで居ないくせにー。」
テオ「お前に比べると俺は休んでいる方だ。この3ヶ月間、お前はベッドで眠ったか?」
「…眠ってるよ。この子のベッドを借りて。」
テオ「うたた寝は睡眠に入らないからな。横になれと言っているんだ。」
テオが苦い顔で俺に注意をする。
「はいはーい、わかってるってー。」
この子を屋敷に運んでからの3ヶ月、俺は自室に戻って居ない。
なんなら四六時中彼女の横について、アナスタシアが目覚めるのを待っている。
テオ「伯爵が言っていただろう。目覚めるにはどらくらいかかるかわからないと。こいつは随分食事を摂っていなかったようだからな。目覚めるまで何ヶ月、何年かかるかわからないんだぞ。
お前はそれまで側に付くつもりか?」
確かに、テオが言っているのは事実だった。
伯爵が言うには…アナスタシアは数十年もの間充分に食事を摂っていなかったらしい。
だからいつ目覚めるかわからない…
なんなら、目覚めるかもわからないと言っていた。
「目覚めた時、一人ぼっちは可哀想デショ…?
この子は少なくとも、食事を摂らなかった数十年間はずっと1人ぼっちだったんだから。
それに、彼女が最初に見つめるのは俺がイイ。」
テオ「お前は…こいつのことになると余裕が無くなるな。」
「んー?まあね、だって俺アナスタシアのこと愛してるしー。」
テオ「…そうかよ。」