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テニスの王子様*短編集

第1章 ふわふわオムレツ【菊丸英二】





そんな声を聞いてしまうと、ああ…やっぱり無理だ。私は英二のこんな声に弱い…。
そして、一拍の間を置いてから いいよ と、返すのだった。

そして14時間後の日曜日、11時現在…私は菊丸家のキッチンに立っていた。家から持参した、地がミントグリーンの両サイドのポケットに四つ葉のクローバーのワッペンの付いたエプロンを身に付け買い物袋から食材を取り出す。

ふわふわオムレツとぷりぷりエビピラフを作ろうと思っているのだが…真後ろで椅子に腰掛け、自らの股の間の椅子に両手を付けて左右に身体を揺らしている彼。
一体全体、なにをしているのだろうか…でも、ただただ可愛い。

食材を切り終え、米と一緒に炊飯器にセットする。調味料を加え、炊飯器の早炊きスイッチを押した。
後はオムレツの準備だ。玉子をボウルに割り入れ、泡立て器で溶いてから生クリームと牛乳を加えて混ぜ合わせる。

しかし…ずっと後ろで見ていられると、正直やりにくい。というよりも、緊張して失敗しそうだ。
振り返ると、英二は何度か来た時に見せて貰ったクマのぬいぐるみ【 大五郎 】を抱いていた。



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