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〈イケメン戦国〉紫陽花の咲く季節

第5章 帰城


そう言った瞬間佐助さんはすっと立ち上がった。

「ごめん、誰か来たみたいだ」

そう言って天井にさっと飛び上がる。

「また様子を見に来るよ」

佐助さんは周りをひどく警戒しながら「また様子を見に来るよ」と言って天井板を元の位置に戻した。


すると少ししてから初老の女の人と私たちと同じくらいの年の女の子が部屋に来た。

(ほんとに来た…!)

「失礼いたします。お茶とお茶菓子をお持ちいたしました」

「ふみさん!」

椿が立ち上がって言った。

「…椿、誰?」

私は小声で椿に聞く。

「ええっと、私達のお世話をしてくださるふみさんだよ。隣の方ははじめましてだけど」

椿の紹介を受けてふみさんと女の子が礼をする。

「お初にお目にかかります。姫様方のお世話をさせていただきます、さくらと申します。」

女の子はそう言って畳に頭をつけるくらい深々と頭を下げた。

「はじめまして、椿です。お世話になります。よろしくお願いしますね」

私もお辞儀をして言った。

「はじめまして、私は絢といいます。よろしくお願いします」

私が自己紹介を終えると椿が言った。

「ふみさんには名前で呼んでねって言ってあるから絢もよければふみさんって呼んでね」

「お、わかった」

(OKって言いかけた…)

私は切り替えて尋ねた。

「さくらさんは歳いくつなんですか?」

「わ、私ですか?今年で16になりました」

((年下…!))

「さくらさん、」

私はさくらさんの手をガシッと掴んで言った。

「私達、友達にならない??」

「へ」

椿が目を丸くした。

「えぇっ」

さくらさんとふみさんがぽかーんとする。

いち早く我に返った椿が言った。

「私も!もしよければさくらちゃんってよんでもいい?」

さくらちゃんとふみさんは依然として動揺を隠せていない。

「は、はい。姫様がお望みになりますなら…」

さくらちゃんはなんとかそう言っている風だった。
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