• テキストサイズ

〈イケメン戦国〉紫陽花の咲く季節

第5章 帰城


そのとき天井からノックが聞こえる。

コンコン

「そうでもないんだ。入ってもいい?椿さん」

椿は驚いた顔をして言った。

「もしかして、さ、佐助さん!?どうぞ…!」

すると緑ベースのいかにもな格好をした忍者が天井の板の一枚をあけてすたっと降りてきた。

「こんにちは、椿さん。この子がもう一人の?」

「こんにちは、佐助さん。そうなんです」

待って、状況が理解できない。
この忍者と椿はいつ知り合ったの???

そう頭をぐるぐるさせていた私に椿は言った。

「えっと、絢覚えてる?この人、あのときの大学院生」

あのとき…?

ああ!私達がタイムスリップ(?)したとき一緒にいたはずの大学院生か!

私はぽんと手を打つ。

「…思い出した。えっと、絢です。よろしくお願いします。」

「猿飛佐助だ。よろしくね、絢さん」

私と佐助さんが自己紹介をしあったところで椿が言った。

「ええっと佐助さん、そうでもないってどういうことですか?」

すると佐助さんは眼鏡をくいっと持ち上げて言った。

「長い話になるけど聞いてほしい。…俺は大学院で宇宙物理学を研究してたんだけど、タイムスリップについて調べていたときに6月2日、あの時間に本能寺跡にワームホールという時空の歪みが生じるという観測結果が出て検証しにいったら君達がいたんだ」

佐助さんは「巻き込む形になってごめん」と頭を下げて言った。

それを受けて私達は慌てて言った。

「いえいえいえいえ、あの場に勝手にいた私達が悪いですし!」

「そうですよ!佐助さんは止めようとしてくれましたし」

佐助さんは変わらず真顔でありがとうと言って話を続けた。

「それで俺は君達より四年前にこの時代に飛ばされて、なおもワームホールの観測を続けてたんだけど観測の結果、3か月後の9月2日にワームホールが本能寺でまた出現する可能性が高いんだ」

つまり、

私は思わず前のめりになって聞いた。

「帰れるってことですか!?」

佐助さんは頷いて言った。

「そういうこと。だから二人には8月末までここにいてもらって、いいタイミングで俺がピックアップするよ」
/ 119ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp