好きになってもいいですか。~声優さんと恋をしよう~
第5章 不安
━━━━……
チチチ…ピヨピヨ…
『━━…ん~…あさ…?』
「うん、朝だよ」
『あ、梶さん…おはよーございますぅ~…』
「うん、まずこれはどういう状態かな」
『え?』
ふと、梶さんの目線の先を見れば
私は梶さんに抱きついていた
『うわ!え?ええ!?わ、私なにやって…!』
「寝てる間ずーっと抱き締めてられてたんだよー?」
ま、起こすのも可哀想だからこのままにしといてあげたけど、と梶さんは続けた
『す、すいません
私、いつも抱き枕を抱いて寝ているのでそのクセで…』
「あ、なるほどねー
で、いつまでくっついてんの?」
『あ、すいません!離れます!』
私が抱きついていた手をパッと離すと
梶さんはその腕をつかんで自分のくびに回した
「それとも…昨日の続き、したかった…とか…?」
『なっ!なわけ!!』
「あははっすぐ赤くなる~
ジョーダンだよ」
『か、梶さん自分で冗談は言わないって…!』
「あれ、そんなこと言ったっけ~?」
そう言って梶さんはとぼけた顔をする
その顔が可愛くてつい笑ってしまった
『もう!あははっ!』
しばらく二人で笑いあったあと
「あ!今日ね収録と先月放送されたアニメのイベントがあるんだけど…良かったらくる?」
梶さんがそんなことを言うもんだから私は目を輝かせないわけにはいかなかった
『行きます!行かせてくださいっ!!』
私は前のめりになりながらそう答えた
「お、おう…すごい食い付くな…」
少し梶さんに引かれた気がしたが、今はそんなことどうでもいい
声優の生の現場を見ることができる
そして何より
憧れの声優さんに会うことができる
『じゃあ私、準備してきます!!』
私はベッドから飛び降り、すぐにメイクをしてオシャレな服に着替える…
はずだったが
「準備って…あの汚れちゃった制服来てくの?」
梶さんの言葉でハッと思い出した
(そうじゃん…私、メイク道具とか服とか
全部家じゃん…しかも家全焼しちゃってるし…どうしよう…)
そんな私の心を読み取ったのか
「じゃあ、今から一緒に買いに行くか!」
と言い出した
『え!でも仕事が…』
「ミーティングあるけど、それはマネージャーに任せるから大丈夫」
『でも、収録とイベント…』
「それは午後からだから!また服貸すから早く行くよ!」