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【HQ澤】不思議な桜

第1章 不思議な桜


桜の季節。
「澤村。これ、いまんとこの入部届」
学年が一つあがり最上級生となる今年は泣いても笑っても最後の年で、試合に出られるのももちろん最後。
「昔は多かったのに・・・」
と嘆けば
「こっから増えるって大地!」
と菅原からの励ましがくる。
バレー、小さな巨人、烏野高校。
昔は強豪で有名で部員も多かったが
(まぁまぁ。まぁまぁ。)
烏養監督も居ない今、部長である自分が頑張っていかないと。
そう気合いを入れる横で
「ガン無視興奮するっス!!」
と、いつも通りの清水へと田中のやり取りを見てやれやれと思いつつ部員届を見てみれば、予想外の名前がそこにあった。

(とにかく、やって行くしかない訳で)
と授業中物思いにふけながらやってきた放課後。
「あ、やべ忘れもんした。大地先行ってて」
「おぅ」
あの名前のおかげで少し浮き足立ちながら部活に向かう澤村達。
菅原と別れ澤村一人、部室に行く途中の桜並木。
満開だった桜もひらひら散って、季節が終わる合図が始まっている。その時、 
ザァァァッ
と一つの強風。
同時に起こる桜吹雪。
目をふせ、舞っていく花びらを追っていくと木々の間に桜色の布切れ。
(?)
そのままそれを追っていくと、それは桜色の着物の様で、さらに追うと、それを制服の上から羽織り、桜と一心同体にでもなったかのような女子生徒がそこにいた。木の枝に座り込み身を任せているのがとても自然体で一瞬で目を奪われる。
「おい、危ないぞ!」
けれどもすぐに平常心になり、そう声をかけるとその女子生徒と目が合い、一瞬、時が止まった感覚に陥いった。
すると同時に起きた強風。つい目をつむってしまい、目を開けた時には彼女は居なくなっていた。
呆然としている澤村に
「大地ー、どした?」
と後からやってきた菅原に声をかけられ改めてその桜を見ればやはり誰も居らず
「いや、なんでもない」
と狐につままれたと言うのはこういう事かと思いながら部活に行けば入部届の方は間違いではないようで、影山と例のよく飛ぶ日向が入部しに来た。
そして数分後、
「部活には一切参加させない。」
ピシャリと閉めた体育館の扉。
「あいつらにキツイんじゃねー?大地」
何もそこまでと言った菅原と、不安気にしている田中に自分の思惑を伝え、その後は、案の定バカ正直だった影山と約束を交わし、土曜日に試合を行うことに。
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